PPS樹脂（ポリフェニレンサルファイド）の切削加工

PPS樹脂（ポリフェニレンサルファイド）について

PPS樹脂は、ポリフェニレンサルファイドの略称で、耐熱性や耐薬品性に優れた、スーパーエンジニアリングプラスチックの一種です。ベンゼンと硫黄が交互に結合してできています。

耐熱性や、耐薬品性に優れている以外にも、

・寸法安定性が高い
・絶縁性に優れている
・難燃性に優れている

といった特長があり、半導体製造装置をはじめ、様々な製品に採用されています。

ガラス繊維、炭素繊維、無機質充填剤などを配合して、耐衝撃性を強化して使用されることもあります。また、熱可塑性樹脂であるため、射出成形で加工されるのはもちろんのこと、切削により加工されることもありますが、伸びがない素材であるため、曲げ加工には適していません。

PPS樹脂（ポリフェニレンサルファイド）とその他樹脂の比較

先述した通り、PPS樹脂は耐熱性や、耐薬品性に優れていますが、PTFE（テフロン）の方が、耐熱性や、耐薬品性に優れています。しかしPPS樹脂は、PTFE（テフロン）と比較し、強度が高く、かつ価格が低いです。

＊耐熱温度-PPS樹脂：220℃、PTFE（テフロン）：288℃

また、耐熱性のみに焦点を当てると、ポリイミド（べスペル®）の方が、優れています。しかし、PPS樹脂の方が、コスト的に優れています。

そのため、PPS樹脂は、機能性とコストを両立した樹脂といえます。

PPS樹脂（ポリフェニレンサルファイド）の用途

前述の通り、優れた性質を持つPPSですが、用途としては耐熱性、難燃性、耐薬品性が求められる製品に用いられます。代表的なものであれば、車やバイクのエンジン周りの部品で用いられています。また、絶縁性を活かして、電子部品や家電製品に用いられることもあります。これらの製品を量産する際は、主に射出成形が用いられますが、試作・単品の際や、射出成形では実現が難しい形状である場合は切削加工が用いられることが多々あります。